東京都武蔵野市吉祥寺の篆刻家

【北村 鐘石】(きたむら・しょうせき)

◆謙慎書道会 理事
◆読売書法会 幹事
◆鑒古印社同人

篆刻家【北村 鐘石】モノローグ

「ようやく安住の地を得て、さらに本腰を入れて印章彫刻に打ち込もうとしたとき、ふと、これまで習得してきた技術に限界を感じました。

ある寺院から角印のご注文をいただいたことがきっかけでした。普段彫刻している、直径わずか15㎜の実印や銀行印とは、一辺の長さが約3倍、面積は約10倍もの45㎜角の印章でした。仕上りはなんとも収まりが悪く、納得もできませんでした。

「もっと大きな印を美しく彫る技術を身につけたい」「文字の専門家として、その成り立ちを深く勉強したい」

そんな思いに駆られ、厳しい修業を覚悟の上で、平成18年(2006)、篆刻の世界に足を踏み入れました。

篆刻作品はとにかく大きいので、たった1本の線をなおざりにしただけで無様な仕上りになります。二千年前の中国の学者が叡智を絞って創り上げた文字ですから、現代のわれわれも、その思いをしっかり受け止めて真摯に学習し、1本1本の線を精魂込めて、全精力を傾けて彫らねばなりません。

幸いにしてこの世界に入って2年目で日展に入選することができ、そこから3年連続で入選を果たしました。

しかし篆刻の世界は実に奥が深く、追求すればするほど課題や謎が次々と目の前に立ちはだかってきます。その難しさに、今ではすっかりその虜になっています。

かといって私は専業の篆刻家になろうとは思っていません。篆刻はあくまで技術の研鑽が目的で、生涯が勉強です。

北村 鐘石 プロフィール

■平成21年 第71回謙慎書道会展覧会 篆刻 初出品 特選謙慎賞
 以降5年連続特選受賞 理事となる
■平成21年 第26回読売書法展 篆刻 秀逸受賞
 以降特選2度・奨励賞受賞して幹事となる
■平成21年 第41回日展5科書篆刻の部 入選 日展作家となる
■平成22年 第17回全国印章技術大競技会 篆刻の部 金賞受賞
■平成22年 第42回日展5科書篆刻の部 入選
■平成22年 中国 西レイ印社 書印大展 入展
■平成23年 第43回日展5科書篆刻の部 入選
■平成26年 改組 第一回新日展 入展

趣味はウォーキング、それとも?

健康増進と体重維持のためによく歩くことにしています。週のうち5日は毎晩約10km歩き、月2回の篆刻教室のときは、椎名町から吉祥寺まで約12kmの道のりを2時間半ほどかけて歩いて帰ってきます。

歩きながら次の篆刻作品の構想を練るようなことはしません。ウィンドウを眺めながら『この店の餃子はうまそうだな』とか、思い浮かぶのは食べもののことばかり(笑)。

特に甘いものが大好きで、たい焼きや今川焼などは遠くの街の名店で20個ほどまとめ買いして冷凍庫に保存して、篆刻で脳が疲れたときのブドウ糖補給に役立てています。

と、ここで奥様が横から一言。「夫の趣味はウォーキングというより、食べ歩きです(笑)」

篆刻家・北村 鐘石 代表作ギャラリー

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